2025.12.16 Tuesday 20:14
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2009.12.25 Friday 21:10
「クロームを使ってまで、一体何の用ですか」
「続き」
「は?」
「この前の」
「…あぁ」
「俺の守護者となる為の条件として9代目における門外顧問が提示したのは城島犬、柿本千種の身の安全と絶対的な保証」
「さあ、どうでしたかね」
「それらの意味するものは彼らが人質ということ」
「…何が望みです、ボンゴレ」
「改めて、俺と取引をしよう」
全く、『甘い』の一言に尽きる。
相手に情けをかけての取引に、公平性などあるはずもない。
慣れ合っているのではないのだと。
不利な条件を出しているのだと。
その上で協力を強いているのだと。
僕らの為のお膳立て。
そうまでして護りたいものがあるのだと君は、
僕の指からリングを抜いた。
[0回]
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2009.12.25 Friday 21:06
「伸ばした腕がどこまで届くのか、獄寺君は知ってる?」
「クイズですか?それとも、思想的な見解?」
「さぁ、どっちでしょう」
「もしも十代目が危険に晒されているとして…勿論、打破なさるでしょうけれど!」
「うん」
「そうしたら、俺はどこに居たってお傍に駆けつけます」
「ほんとにやりそうだよね」
「そこに制限はありません。俺の腕は、世界中に届きます」
「…獄寺君らしいや」
「笑わないでください、本気なのに」
「ううん、嬉しいんだよ」
君のまっすぐな瞳が。
君のまっすぐな心が。
もうすぐその腕が届かなくなる。
そんな残酷な台詞を、言えるはずもなく。
[0回]
2009.12.25 Friday 21:02
「骸様」
「おや、クローム」
「まだ眠らないの?」
「まぁ、本体はいつも眠っているようなものですし」
「…ごめんなさい」
「気分を害したワケではありませんよ」
「はい」
「クローム」
「?」
「僕は今更になってやっと、自分の身勝手さを思い知った」
「え?」
「君は、こちら側に来るべきではなかったのかもしれない」
「来るべきでは、なかった…?」
「君を巻き込んだことに罪悪を感じるだなんて虫の良過ぎる話です」
「違う」
「クローム?」
「私が、骸様の力になりたかったの」
「それは」
「骸様は私を必要だと言ってくれた。新しい、命をくれた」
「ただの暇潰しだったかもしれないのに?」
「それでも、選んだのは私だから」
そんなこと言わないで。
そんな風に笑わないで。
たくさんのかけがえのないものを与えてくれた貴方が私の世界全て。
まだ伝えられない『Grazie』、いつかあなたに伝えられる日まで。
[0回]
2009.12.25 Friday 20:58
「大丈夫さ」
「何度も聞いたわ」
「何度も言ったからね」
「貴方はいつでも歩き続けてる」
「立ち止まっている間に、大切なものを護り切れなかったら厭じゃないか」
「それが貴方の強さなのね、ジェームズ」
「僕の強みも弱みも、君とハリーと仲間たちだけだよ、リリー」
明日が来ることに怯えはしない。
恐れるのは、このぬくもりを失うこと。
ふたりで交わした守れぬ約束、ずっとずっと生きて行こう。
[0回]
2009.12.25 Friday 20:45
「もしも」
「はい?」
「俺が酷いウソをついたら、どうする?」
「十代目が嘘、ですか」
「俺に嘘なんて吐けるワケ無いって思ったでしょ」
「い、いえ!そうではなくて!!」
「良いよ、気ぃ遣わなくて。分かってるから」
「もし、そうだったとしても」
「うん?」
「十代目がお考えになられたことです。何か理由があるのだと、思います」
「本当に?」
「はい」
「買いかぶりすぎだよ」
「いいえ!」
「…いつか、俺は皆を傷付ける、きっとね」
「十代目?」
「その時は絶対に、俺を赦しちゃ駄目だよ」
有無を言わせぬ笑顔の裏で、何を思っていたのだろう。
一挙一動全てが、彼自身の為でなく、
彼を大切に想うものの為に繋がっていた。
最期の最期、一筋の光だけでも彼へと繋がっていたのなら、
違う未来を見ることが出来ただろうか。
物言わぬ骸へ捧げる献花。
requiemはまだ歌えない。
[0回]
2009.12.24 Thursday 21:01
「お菓子食べたい」
「ウィンリィ、作れるじゃない」
「自分で作れよ」
「違うのよ!ヒトの作ったものが食べたいの!!」
「ばっちゃんのカントリーケーキは?」
「すでに面倒だからって却下されたわ」
「そうだ、兄さんに作って貰えば?」
「材料の無駄って知ってる、アル?」
「パンケーキくらい焼けるぞ!!」
「材料言ってみよう、兄さん」
「小麦粉、砂糖、卵―――…水」
「何よ、混ざってるのは平気なくせにー!!」
「扱うのは嫌だ!臭いが無理!!」
「じゃあ、次から機械鎧壊すごとにミルクパンケーキ練成」
「良い考えだわ、アル」
「大却下!!」
お皿くらいは準備してあげる。
とっておきの紅茶を淹れて、あったかふわふわパンケーキ。
たっぷりバターとシロップ添えた不器用な君の、不器用な優しさ。
[7回]
2009.12.24 Thursday 20:50
「もうすぐ、始まる」
「怖気付いた?」
「俺は怖がりですよ、昔から」
「そうだね」
「知ってるなら訊かないで下さい」
「でも」
「でも?」
「臆病だとは思ってないよ」
「それはそれは」
「君が、無害だともね」
嘆息交じりに見せた苦笑は否定か肯定か。
瞳の奥に揺らぐ炎。
上手く隠されたそれは獰猛な獣と同じ色を宿していた。
[0回]
2009.12.24 Thursday 20:45
「むーくろー、むっくーん」
「…止めて貰えませんか、気持ち悪い」
「うん、俺も気持ち悪い」
「無理やり波長を合わせて、夢の中でまで何の用ですか」
「今日はクローム居ないんだね」
「ボンゴレ、聞いてます?」
「ちょっとだけ、話を」
「話?」
「話」
「…珍しい。随分と、穏やかではない瞳だ」
「悪巧みをちょっとね」
「君の頭で足りるんですか」
「ブレインタイプの共謀者がふたりもいますから」
「それで?」
「お前に利用されてあげる」
「ボンゴレらしくない妥協だ」
「うん。だから手、貸してよ」
まるで猫の手でも借りるかのように簡単に言ってのける。
確かに彼らには大きな借りもある。
君を利用して、今回だけは君の手駒になってあげましょう。
[1回]
2009.12.24 Thursday 20:26
「駄目だよ」
「え?」
「私たちには、良いの。理由があるんだって、笑っていられる」
「う、ん?」
「でもね、自分にだけは嘘吐いちゃ、駄目なんだよ」
「嘘…」
「3年間1度も、あんたの彼氏の名前言わなかった」
「笑ってるけど、笑ってない」
「私、は」
「友達だもん、分かるよ」
「そんなかごめ見てるの、辛い」
「…だ、って、分から、ないん、だも、の」
「うん」
「どうしたら良いのか、分からないの」
「うん」
「手が、届かない…」
「違うよ」
「違、う?」
「伸ばさないと、届くものも届かない」
「理由じゃなくて、あんたはどうしたいの?」
「―――逢い、たい…逢いたい、よ…っ」
「うん、知ってた」
「知ってたけど、黙ってた」
「嘘吐いてたのは、私たちも同じなの」
「…うん、ごめん、ごめんね」
「かごめ」
「ありがとう――――――…さよなら」
予感がした。
背中を押してしまったら、もう2度と会えないのだと。
もうちょっと、もうちょっとだけ。
一緒に過ごせる時間を先延ばしにした。
ごめんね。ありがとう。さよなら。
ずるくても全部言わせた、泣き顔がここで終わるよう。
大好きな貴女が笑っていられるよう、倖せであるよう、願い続ける。
[3回]
2009.12.24 Thursday 20:23
「聞いておくれよ、リーマス!」
「聞いてるよ、ジェームズ」
「奴め、僕がうっかり転寝をしている間にカエルチョコを平らげてしまったんだよ!意地汚いと思わないか?!」
「あぁ、シリウス?」
「他にいるかい?!」
「仕方ないなぁ、駄目だよ。反省しなさい」
「待て、ジェームズ!リーマスとピーターも食ってたぞ!?」
「リーマスがそんな真似するワケないだろう。言い訳ならもっとうまく考えろ」
「ピーターはきっと知らなかったんだよ。シリウスがあげたんだ」
「え、えっと…」
「何この差?!」
言い争って、喧嘩して、仲直りして、また喧嘩。
くだらなく、かけがえのない毎日の繰り返し。
笑い合ったあの日はもう、来ない。
[0回]