「もしも」
「はい?」
「俺が酷いウソをついたら、どうする?」
「十代目が嘘、ですか」
「俺に嘘なんて吐けるワケ無いって思ったでしょ」
「い、いえ!そうではなくて!!」
「良いよ、気ぃ遣わなくて。分かってるから」
「もし、そうだったとしても」
「うん?」
「十代目がお考えになられたことです。何か理由があるのだと、思います」
「本当に?」
「はい」
「買いかぶりすぎだよ」
「いいえ!」
「…いつか、俺は皆を傷付ける、きっとね」
「十代目?」
「その時は絶対に、俺を赦しちゃ駄目だよ」
有無を言わせぬ笑顔の裏で、何を思っていたのだろう。
一挙一動全てが、彼自身の為でなく、
彼を大切に想うものの為に繋がっていた。
最期の最期、一筋の光だけでも彼へと繋がっていたのなら、
違う未来を見ることが出来ただろうか。
物言わぬ骸へ捧げる献花。
requiemはまだ歌えない。
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