「骸様」
「おや、クローム」
「まだ眠らないの?」
「まぁ、本体はいつも眠っているようなものですし」
「…ごめんなさい」
「気分を害したワケではありませんよ」
「はい」
「クローム」
「?」
「僕は今更になってやっと、自分の身勝手さを思い知った」
「え?」
「君は、こちら側に来るべきではなかったのかもしれない」
「来るべきでは、なかった…?」
「君を巻き込んだことに罪悪を感じるだなんて虫の良過ぎる話です」
「違う」
「クローム?」
「私が、骸様の力になりたかったの」
「それは」
「骸様は私を必要だと言ってくれた。新しい、命をくれた」
「ただの暇潰しだったかもしれないのに?」
「それでも、選んだのは私だから」
そんなこと言わないで。
そんな風に笑わないで。
たくさんのかけがえのないものを与えてくれた貴方が私の世界全て。
まだ伝えられない『Grazie』、いつかあなたに伝えられる日まで。
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