「もうすぐクリスマスね」
「ハリーにとっては初めてのクリスマスだ」
「クリスマスプディングに七面鳥」
「特製スタッフィングも忘れないでおくれよ?」
「とびっきりおいしいシャンパンを準備してくれたらね、ジェームズ」
「地球の裏側にだって探しに行くよ、愛しいリリー」
「いつかハリーはどんな家族とクリスマスを過ごすのかしら」
「駄目駄目、僕らとのクリスマスが何年も先まで予約済みなんだから」
「まぁ、困った父さんだこと!」
暖炉の中で橙色の炎が揺れる。
今年も来年も再来年も、ずっと続くはずだったクリスマス。
笑っていた家族はもう居ない。
[3回]
「大丈夫さ」
「何度も聞いたわ」
「何度も言ったからね」
「貴方はいつでも歩き続けてる」
「立ち止まっている間に、大切なものを護り切れなかったら厭じゃないか」
「それが貴方の強さなのね、ジェームズ」
「僕の強みも弱みも、君とハリーと仲間たちだけだよ、リリー」
明日が来ることに怯えはしない。
恐れるのは、このぬくもりを失うこと。
ふたりで交わした守れぬ約束、ずっとずっと生きて行こう。
[0回]
「聞いておくれよ、リーマス!」
「聞いてるよ、ジェームズ」
「奴め、僕がうっかり転寝をしている間にカエルチョコを平らげてしまったんだよ!意地汚いと思わないか?!」
「あぁ、シリウス?」
「他にいるかい?!」
「仕方ないなぁ、駄目だよ。反省しなさい」
「待て、ジェームズ!リーマスとピーターも食ってたぞ!?」
「リーマスがそんな真似するワケないだろう。言い訳ならもっとうまく考えろ」
「ピーターはきっと知らなかったんだよ。シリウスがあげたんだ」
「え、えっと…」
「何この差?!」
言い争って、喧嘩して、仲直りして、また喧嘩。
くだらなく、かけがえのない毎日の繰り返し。
笑い合ったあの日はもう、来ない。
[0回]
「やっぱりハーマイオニーはすごいな。使えない魔法なんてないんじゃない?」
「そんなことないわ、ロン」
「じゃあ、例えば?」
「…服従の呪文、磔の呪文、拷問の呪文は使えないわ」
「使えないんじゃなくて、使わないんだろう?」
「そうよ、絶対にね。でも」
「?」
「死者が蘇る魔法なんて、使いたくても使えない」
「それでも僕は信じるよ、ハリーを」
哀しい背中、笑わないグリーンの瞳。
何度でも手を伸ばすよ。
前を見続ける君が振り返ってくれるまで。
[1回]
「死ぬんじゃ、ねぇぞ」
「ぼくが?冗談!それとも死にたがりにでも見えるのかい?」
「見えるか、莫迦」
「だろう、パッドフット」
「見えて堪るかよ、プロングズ」
「やけにつっかかるな、どうした?」
「お前、が…っ」
「うん?」
「…も、いーや」
「何だ何だ、途中で止めるものじゃないぞ。気持ち悪い」
「気持ち悪いのは今のお前の麩抜けた顔で十分だ」
言って、思わず笑ってしまった。
不安などないと、心配などさせないと。
君が笑ってくれるから、君の言葉を信じよう。
君の倖せが、どうかまほろばではないように。
[0回]
「ジェームズ」
「何だい、シリウス」
「お前の鳥の巣みたいな頭には鳥が本当に住んでるんじゃないだろーなってくらいお前はトリ頭だな」
「失礼極まりない男だな。僕の頭の中はリリー一色さ!」
「止めなよシリウス、無駄だってば」
「リーマス、見てないでどうにかしろ」
「うん、頑張れ」
「無責任な!」
「僕は素直に謝って、マクゴナガル先生にでも外して貰った方が懸命だと思うよ」
「「駄目だ!」」
「今度の悪戯で使うつもりらしいよ」
「おかげでくっ付きたくもないシリウスと仲良しこよしさ!」
「俺の台詞だ!!」
「何に使うの、こんなべたべた接着剤」
「フィルチの足止め」
「なるほど」
失敗は成功の素?
次の悪戯大成功?
見つからないように試したら、皆をあっと言わせよう。
[0回]