「なぁ、チチ」
「メシは悟飯ちゃんが帰ってからだ」
「オラが死んだ時、やっぱ泣いたか?」
「…何言い出すかと思えば」
「笑うなよー」
「泣いた、大泣きしたべ。泣いて、寝込んで、いっぱい皆に心配かけた」
「そ、っか」
「なして今更そんなこと訊くだ?」
「んー」
「悟空さ?」
「だったらオラもチチが死んだ時、泣くんだろーなと思ってさ」
「おっでれぇた!悟空さが泣いてくれるだか?」
「だって、オラ多分チチと同じくれーにチチのこと好きだぞ?」
「…まぁったく、悟空さはっ。多分、は余計だべ!」
泣いて、笑って、怒って、泣いて。
それでも君が傍に居る奇跡。
[4回]
PR
「っと、コレで良し」
「悟空」
「ん?」
「何でお前、直接言わなんだ」
「何がだ?」
「ワシは誰にでも声を届けることが出来るんじゃぞ?」
「うん、知ってる」
「ならば、お前の嫁に何で言ってやらん。最期の言葉をかけてやらんのだ」
「…だってさ」
「何だ」
「面と向かってだったら、チチに謝ることしか出来ねぇよ。謝ったって、仕方無いことだって分かっててもさ」
「そりゃあな」
「それに、最期が泣き声なんてイヤだったんだ。出てくる時も心配させたし…あぁ、笑った顔見たのは悟飯も一緒に出かけた時だっけか」
「…悟空、お前」
「勝手だけどさ、やっぱコレって卑怯だよなぁ」
「お前は怖かったのだな」
「怖い?そりゃ、チチはおっかねぇけどよ」
「そうでは無くてだな…まぁ良い。お前もヒトの子だったと言うワケだ」
「?」
「悟空、お前はお前が思っとるよりもよっぽど恵まれていたんじゃよ」
「界王さま、オラ恵まれてないなんて思ったこと無ぇぞ。皆からいっぱい貰ったからな」
そう言って、君が笑うから。
そう言って、君は笑うから。
切ない優しさ、切ない―――残り香。
[5回]