「駄目だよ」
「え?」
「私たちには、良いの。理由があるんだって、笑っていられる」
「う、ん?」
「でもね、自分にだけは嘘吐いちゃ、駄目なんだよ」
「嘘…」
「3年間1度も、あんたの彼氏の名前言わなかった」
「笑ってるけど、笑ってない」
「私、は」
「友達だもん、分かるよ」
「そんなかごめ見てるの、辛い」
「…だ、って、分から、ないん、だも、の」
「うん」
「どうしたら良いのか、分からないの」
「うん」
「手が、届かない…」
「違うよ」
「違、う?」
「伸ばさないと、届くものも届かない」
「理由じゃなくて、あんたはどうしたいの?」
「―――逢い、たい…逢いたい、よ…っ」
「うん、知ってた」
「知ってたけど、黙ってた」
「嘘吐いてたのは、私たちも同じなの」
「…うん、ごめん、ごめんね」
「かごめ」
「ありがとう――――――…さよなら」
予感がした。
背中を押してしまったら、もう2度と会えないのだと。
もうちょっと、もうちょっとだけ。
一緒に過ごせる時間を先延ばしにした。
ごめんね。ありがとう。さよなら。
ずるくても全部言わせた、泣き顔がここで終わるよう。
大好きな貴女が笑っていられるよう、倖せであるよう、願い続ける。
[3回]
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