「ウィンリィ!!!」
「なっ、びっくりした!」
「これ!!!」
「あ、あー…?無いと思ったら、そっちにあったの」
「何で紛れるんだよ!!」
「何でって…何でかしらね」
「わざとだろ!絶対わざとだろ!!?」
「わざとじゃないわよう」
そんな涙目にならなくったって。
初めて見るものでもないでしょ、別に。
君の洗濯物に紛れた、ひらひらレースのあたしの下着。
[13回]
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「エド、ちょっとそこに立って」
「ここ?」
「そう、そこ」
「何だよ、身長でも比べんのか?」
「今更比べてどうすんのよ」
「オレのがでかいしな!」
「それでもアルより小さいけど」
「うるっさい!!」
「うーん、これくらいかぁ」
「ほんとに何だよ」
「部屋にある机と椅子、使いにくそうにしてたから」
ずっと使うものだしね。
言って彼女が笑うから、ありがとうを言い出せなかった。
自分の居場所、家族の居る場所。
[10回]
「じゃあ、行ってきます!」
「…ほんっとにひとりで行くのか?」
「行くわよ」
「ほんとのほんとに?」
「昨日の夜からしつこいわね!ひとりで行くの!!」
「だ、だって!!」
「エドは留守番!待ってなさい!!」
「電話とか!!」
「帰ってくれば分かるでしょ!!」
「そっ、それは、そう、だけどさぁ!!」
「早く行かないと予約の時間に遅れるよ」
「ほんとだわ!行ってきます!!」
「エド、大人しくしてな」
「落ち着かねぇんだよ~ッッ!!」
昨日の夜から右往左往。
君が気にしたところで、訊いてみなきゃ分からないじゃない。
きっと多分大丈夫、帰って一番に教えてあげるわ、落ち着かないお父さん?
[20回]
「エドの部屋でえっちぃ本見つけたんだけど」
「………はァ!?」
「嘘よ」
「~ッ妙な嘘吐くな!!」
「そっちこそさっきの間何よ、心当たりでもあるの?」
「ね、無ぇよッ」
「…あやしい」
「あやしくない」
「心の浮気だわ!!」
「だから持ってないって言ってんだろ!!」
じゃあ、どうしてそんなにうろたえるの。
今度本格的に部屋の中探してやるんだから。
視線を合わせない君に、絶対一度は見たことあるんだと抱く確信。
[11回]
「…ひゃひ」
「エドって愛想ないわよね」
「しっつれいな!」
「笑うけど、大抵仏頂面だし」
「地がこういう顔なんだよ」
「リザさんにはちょう笑顔じゃない」
「何でここでリザさんが出てくる」
「エドって…年上好きなんだ…」
「待て、何がどうなってそうなる」
「あたしになんて、ほんとは興味ないんだぁ~っ」
「大アリだっつの!!!」
うっかり答えた台詞に、慌てて抑える口元。
信じて良いの?喜んで良いの?
そっぽを向いた君の耳、真っ赤に染まったあたしと同じ。
[13回]
「ちょっとだぞ、ちょっとだからな?」
「分かってるわよ」
「ほんとにちょっとだぞ!?」
「あぁもう煩いわね!分かってるって言ってんでしょ!!」
「あああああああああ!!!!」
「うるっさぁーーーーーーいっっっ!!!」
「…なにやってんの、ふたりとも」
「散髪~っ」
「信じらんねぇ!いきなりざっくり行きやがった!!」
「そんなに切って無いでしょ、大袈裟ね!」
「…うわぁ」
「アル!?うわぁって何だ!?おいこら!!」
「エド!動かないのっ!!」
それは、ボクの口からは、ちょっと…。
揃えるだけなのに、やけに多い切り落とされた髪の量。
じっとしてれば仲良く見える、騒々しい午後の日常風景。
[11回]
「兄さん達って仲良いよね」
「喧嘩ばっかしてるぞ」
「喧嘩してたら、『はい、あーん』はないよね」
「――…ッッ!!?」
「ほんと仲良いよね」
「ちょ、待ッ、どっどこから!!?」
「え?全部」
「うわあああああああ!!!!」
覗こうと思ったんじゃないってば。
通りかかったとこにうっかり目に入ったんだ。
ちなみに彼女は気付いてました、迂闊な兄の気の緩んだ瞬間。
[11回]
「エド、あーん」
「や、自分で…」
「あーんっ!」
「………あー…」
「おいしい?」
「…おいしい、デス」
「えへー」
「ちょっと、なに、どしたの」
「ぺたぺたしたい気分」
「…あぁ、そう」
ほんっときまぐれ、自分の方が猫みたいじゃねぇか。
こめかみに口付ければ、嬉しそうに擦り寄って来る。
差し出すスプーンに乗ったミネストローネ、いつもよりちょっと甘く感じた。
[12回]
「…エド、にやけてる」
「そんっ、そんなこと、ねぇよ!!」
「何でうろたえるの」
「そんなことねぇって!!」
「二回言わなくても」
「う、あ、べっ別、に…っ」
「言いたくないなら良いわよぅ」
「や、あの、その、だな!」
「…何なの?」
「後で、言う」
「はぁ…?」
君の態度の理由は結局分からずじまい。
嬉しそうで、楽しそうで、ちょっとだけ照れて。
君の所為でこちらまで一喜一憂、あとで、ってあとどれくらい?
[14回]
「洗い物終了!」
「その割には手が冷えてないな」
「お湯使っちゃった」
「肌、ばっさばさになるぞ」
「あたしの手なんて触るの、エドくらいよ」
「そぉかぁ?」
「まぁ、手だけじゃないけど」
「―――・・・ッッ!!」
あ、真っ赤。
こういう風になって暫く経つのに、まだ面白いくらい反応するのね。
手を握っていた君がぎこちなく離れるのに気付いて、わざと距離を縮めてみる。
[12回]