「わっ、とと」
「ばか、気ぃ付けろ!」
「ごめん、ごめん」
「お前、妊婦だって意識薄いだろ…」
「そんなこと無いわよぅ」
「ある、絶対ある」
「ぺったんこだったときとやっぱり違うのよ」
「あぁ、そんとき出てたのは腹じゃなくて乳だもんな」
「ううううううううるさぁいっっ!!」
ひとが気にしてることをっっ!!
好きで大きくなったんじゃないわよう!!
意地悪に笑う君の頭をぽかりと殴って背を向けたら、
不意打ちでぎゅうっと抱きしめられた。
[17回]
PR
「やっとだね」
「やっとだ」
「笑ってくれるかな」
「嬉し泣きだろ」
「じゃあ、プラスα」
「何を?」
「ボクらがとびっきりの笑顔で『ただいま』を言うんだ」
「ははっ、了解!」
おかえりの分だけただいまを言うよ。
涙の分だけありがとうを返すよ。
両手を広げて抱きしめてくれたら、大好きだよって笑うんだ。
[33回]
「じゃーんけーん」
「ぽんっ!」
「オレの勝ち!」
「やだやだやだぁっ!!」
「さーてーとーっ」
「エド!ねぇ、エド!!一生のお願い!!」
「お前の一生は何回あるんだッ」
「だってぇッッ!!」
「何騒いでるんだい」
「エドがあたしのガトーショコラ取るんだもん!」
「じゃんけんで勝った方から選んで良いって言ったじゃん!」
「あたしが好きなの知ってて選ぶくせにッッ!!」
「オレだって好きな奴お前にいっつも食われる!」
「半分すりゃ良いだろうに」
「「あ」」
今頃気付いたの、馬鹿じゃない?
なんて言いつつ、お前も思いつかなかっただろ!!
半分しても、今度はどっちが大きいでくだらない大喧嘩。
[14回]
「なぁ、ちょっと、こっち」
「何よ、こそこそして」
「ばっちゃんに心配させるだろ」
「は?」
「お前、最近体調悪いとか?」
「へ?別に?」
「顔色悪いぞ」
「そんなこと言ったって、全然」
「この前吐いてたじゃねぇか」
「でも、吐いたらスッキリしたわよ」
「1回、ばっちゃんかどっかの病院で診てもらった方が」
「大丈夫だってば」
「ンなこと言ったって」
「強いて言うなら、子どもが出来たってことくらいだし」
「………………はァ!!!?」
分かったのは一昨日なんだもの。
驚かせようとは思ってたけど、心配させてたなんて気付かなかった。
にやけそうになる口元を抑えた後に、うんと喜んでくれた君の笑顔。
[22回]
「あ゛ッッ!!!」
「どしたの、エド?」
「えッ、いや、何でも…ッッ」
「挙動不審」
「気にすんな!な!?」
「気ーにーなーるーっ」
「ほんとに何でも無ぇから!!」
「あ、ちょっとエド!?」
「うわっと…あれ?兄さん走ってどこに行ったの?」
「分かんない」
「ふぅん」
「なんかね、挙動不審だったの。いきなり叫んでね?」
「あー…分かった」
「え?なに?なに?」
「兄さんったら部屋に不味いもの置いてたよ、ウィンリィ」
「まずい、もの?お菓子?」
アルのやつ、絶対余計なこと言いやがった!!!
ノックもなしに部屋に飛び込んできた幼馴染に、口から心臓が出そうになる。
隠し損ねたプレゼント、フライングの誕生日。
[15回]
「で、何が良いと思う?」
「兄さんに直接訊いてきたら?」
「驚かせたいじゃないの」
「プレゼントで驚くと思う?あの兄さんが?」
「思わないからアルに相談してるのよう」
「誕生日は皆でケーキくらいで特に何かあげたことないもんなぁ」
「あ・た・し、とか言っても貰ってくれないし」
「そりゃ、まぁ、うー…ん…?」
「何が良いかなぁ!」
ソレで喜ばない男は居ないけど、兄さん何故か手を出さないからね。
一生懸命選んだものなら、多分何だって嬉しいと思うよ。
一週間後の誕生日、嬉しいことがまたひとつ増える日。
[15回]
「エド~」
「んあ?」
「椅子の足折れちゃったぁ」
「お前、どんだけ太っ…でぇッッ!!」
「違うもん!!」
「スパナを投げるな!」
「あんたが余計なこと言わなければ投げないわ」
「だって普通折れるか?椅子の足が」
「折れたんだもん」
「あーあ、ボッキリ」
「直してよう」
「木材あったっけなー」
出来上がったのは不細工で不格好な椅子。
安定してはいるけれど、ほんとに使えるのかしらコレ。
きずだらけの君の指に嬉しくなって、仕方ないなぁと零れた笑顔。
[11回]
「エド、ここに置いてた紅茶知らない?」
「あ、オレ飲んだ」
「えええええ!!!」
「お前のだったのか、悪ぃ」
「悪いと思って無いでしょー!」
「あんまり」
「酷い!ばか!せっかく淹れたのに!」
「もっかい淹れれば良いだろ」
「エドが淹れてよー!!」
「えー…」
「淹れてくれなきゃ、一か月おあずけ!」
「マジで!?」
何よ何よ何なのよ!!
ちっとも悪びれてないんだから!!
君が絶対嫌だと言わない、ぐぅの音も出ない交換条件。
[10回]
「ねぇ、まだ寝ないの?」
「お仕事してんですケドね、ウィンリィさん?」
「何よ何よっ、あたしと寝るのとお仕事どっちが好きなのよう!」
「そりゃそっちのが良いに決まっとるわッ」
「じゃあ、仮眠くらい良いじゃない」
「仮眠で済まなくなるからヤだ」
「……エドっていっつもそんなことばっかり考えてるんだ」
「そこでドン引き!?」
いつも自分から誘ってくるくせに!!
枕をぎゅっと胸に抱いて、じりじり警戒。
そんなに期待されてるなら、お望み通り襲ってやるよッ。
[14回]
「暑い」
「なら、離れろ」
「エドが氷みたいに冷たくなれば良いと思うの」
「死ぬわ!」
「冬はあったかくて良いのになぁ」
「お前のがよっぽど体温低いじゃねぇか」
「エドのえっちー!」
「指触ったくらいで!!」
触れた手のあたたかさにびっくりして、思わず手を引っ込めた。
相変わらず子ども体温なのね。
ソファで隣に腰掛ける君に、寝っ転がるようにして寄りかかる。
[6回]