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鋼の錬金術師 214(未来)

「硬いわ~」
「俺は柔らかい」
「えっちー!」
「勝手にいきなりくっついてきておいて!」
「ほっぺは柔らかいのに」
「ちょっと、セクハラはやめてくださーい」
「セクハラじゃないもん、愛情表現だもん」
「どこらへんが」
「ここらへんが」
「気まぐれにくっついてくるだけじゃん」
「気まぐれなのが愛情表現なのよ」



分かったような、分からないような。
ってこら、言いながら居眠りすんなよ。
君のぬくもりはほんとうだけど、寝惚けているのかと疑いたくなる。

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鋼の錬金術師 213(未来)

「あれ?」
「どしたの?」
「ウィンリィ、俺の部屋のベッドシーツ持ってった?」
「うん、洗ってる」
「この前洗ったばっかだろ」
「洗ってるの」
「うん、いやだから」
「洗ってるのっ!!」
「え、あ・・・・・・・・あ」
「・・・・・ばか」



真っ赤な顔して背中を思いっきり叩かれた。
ごめんなさい、失言でした。
心当たりにぶつかって、風に翻った真っ白なベッドシーツ。

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鋼の錬金術師 212(未来)

「口開けて」
「・・・何で」
「ここはあーんってするとこでしょ!」
「何入れられるか分からないのに開けられるか!」
「キャンディ入れるだけよ!」
「・・・何味」
「・・・・・・・・・・・・ミルク味」
「おっま!!朝の仕返しだな!?そうだな!?」
「分かってるなら大人しく報復されなさい!覚悟!!」
「ぎゃああああああ!!!!」



朝の仕返しって、アレだろアレ!
可愛い悪戯みたいなもんじゃねぇか!!
この年になって取っ組み合いの喧嘩なんてするとは思わなかったおやつ時。

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鋼の錬金術師 211
「じゃんけんぽん!」
「あっちむいて、ホイ!」
「うわあああああああ!!!」
「やったー!」
「・・・この台詞何度目か分からないけど、何やってんの」
「負けた方が明日ケーキ買ってくるの」
「特急料金ふんだくった挙句、タカられるってどうなんだ!」
「勝負は勝負よ!」
「ちっくしょぉぉおお!!!」
「今日は良い天気だね、デン」



喧嘩してても、いつの間にか仲直り。
気にするだけ馬鹿を見るって分かってる。
せっかくの良い天気、幼馴染の愛犬と散歩しようと外に出た。

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鋼の錬金術師 210

「兄さん、兄さん」
「いてて、髪引っ張んな」
「伸びたねぇ」
「そっかぁ?」
「切ろうか?」
「お前が?」
「ウィンリィが。僕じゃ感覚無いから分かんないから危ないよ」
「えー・・・」
「ちょっと!えーって何よ、聞き捨てならないわ!」
「お前、ヒトの髪切ったことあんのかよ!」
「無いわよ!!」
「そら見ろ!!」



危なっかしい鋏持ってこっち来るな!
揃えるだけだと後ろ髪を引っ張られ、無理矢理椅子に座らされた。
気付いたら後ろがばっさり、なんて勘弁してくれ。

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鋼の錬金術師 209(未来)

「ん、香水?珍しいな」
「違うわ、匂い袋。アルに貰ったの」
「ポプリみたいなもんか」
「多分ね」
「甘ったるい匂いだな」
「そう?」
「酔いそう」
「それって、あたしに?」
「に・お・い・にっっ!!!」



そんなに思いっきり否定しなくても良いじゃない。
耳まで真っ赤、ポーカーフェイスなんて夢のまた夢ね。
移り香、残り香、甘い香りでわざと隣にくっ付いた。

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鋼の錬金術師 208

「あたしのが長い」
「えー」
「ほらほら!」
「手はオレのが大きい」
「指のは・な・しっ」
「ンなことないだろ、ほら!」
「あたしのが長い!!」
「オレの!!」
「成長途中で張り合ってもねぇ」



呆れたように嘆息するばっちゃんを尻目に、未だ言い合う兄と幼馴染。
女の子の方が成長早いんだっけ。
そういや身長も負けてたよね、もしかしてそこは見ないフリ?

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鋼の錬金術師 207

「風、強いわね」
「停電しないと良いけどな」
「仕事出来なくなる~」
「電気止まったら普通に生活し辛い」
「冷蔵庫も水道も止まるしね」
「あ」
「何?」
「冷蔵庫にアイス入れてんの忘れてた」
「何それ!いつ買って来たの!!」
「貰ったんですぅ」
「ずるい!!」



外は嵐で大荒れ模様。
ガタガタ鳴る窓も気にならないくらい、部屋の中でも大騒ぎ。
呆れたばっちゃんに叱られて、大人しく半分このアイスクリーム。

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鋼の錬金術師 206(未来)

「何だなんだ」
「寒い。ちょっと寒くなった」
「まだ涼しい程度だろ」
「でもあったかいのが恋しい気分」
「デンのがあったかいし」
「今はこっちの気分」
「お前、ヒトを掴まえておいてこっちて」



床に敷いたラグに座っていたら、腰に縋りつくように撒き付いた腕。
そんな薄着で何を言う、寒いなら上着を羽織れ。
放っておけば寝入りそうな幼馴染の額を小突いて、思わず微笑う。

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鋼の錬金術師 205(未来)

「おわ!?」
「えっ何!?」
「・・・お前、手紙全部取ってんのかよ」
「べっ別に良いでしょ!」
「読んだら捨てろよ」
「あたしが貰ったんだもの、どうしようと勝手でしょ」
「えー・・・」
「返してったら!」



手紙の束を引っ手繰って、引き出しの奥にしまい込む。
君が送って来たもの全部、大事にしたって良いじゃない。
色とりどりの写真と、手紙、それと思い出ひとつを折り畳む。

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