「つっかれたー」
「お疲れ~」
「なに、シャボン玉?エド、それどしたの?」
「買い物行ったら貰ったんだよ。ガキじゃねぇっつの」
「その割には飛ばしてるのね」
「勿体無ぇし」
「あたしもやる!貸して貸して!」
「飲むなよ~」
「いくつの時の話よっ!!」
失礼しちゃうったら!
細いストローにふぅっと息を吹き込んだ。
幼い頃と違う高さから飛ばした、幼い頃と変わらない七色のシャボン玉。
[7回]
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「デン?デーンー!」
「こっちー!」
「お、洗ってたのか」
「デンは大人しいから助かるわ」
「あ」
「きゃあっっ!?」
「…身震いは仕方ねぇよな?」
「お、怒ってないわよ…っ」
「ウィンリィさんは大人しくて助かるわぁ」
「エドも手伝いなさいよう!」
「俺が同じことやると怒るんだもんなぁ」
理不尽だ、とぼやいてみても睨まれるだけ。
生返事してシャワーコックを捻ってみたら、丁度良く彼女の上に雨が降る。
わざとじゃねぇぞと言い訳する暇も与えられずに落ちるスパナ。
[6回]
「じゃーんっ」
「百合根?スープでも作るのか?」
「違いますぅ!チューリップの球根!」
「食うのかと思った」
「…お腹空いてるの?」
「いや、別に?で、どうすんだソレ」
「植える以外に何があるのよ」
「枯らすんじゃねえの」
「しっつれいね!」
「もう春になるんだな」
「うん、そうね」
まだ肌寒い風にぶるりと震える。
ぽつり、ぽつりと芽吹き始めた草木が、春が近いのだと教えてくれた。
色とりどりのチューリップ、君と過ごす幾度目かの春が始まる。
[6回]
「エド!!」
「ハイ!?」
「本とあたしとどっちが大事なのよー!!」
「ウィ、ウィンリィ・・・?」
「さらっと答えないでよ、ばかー!!」
「何がしたいんだお前は!!」
読んでた本を奪われて、唐突によく分からない言いがかり。
真っ赤な顔をしてぷんすかと頬を膨らます。
隣にぺたりとくっついて離れようとしない彼女に、構って欲しかったのかと今頃気付く。
[4回]
「キャミ落ちてたぞ」
「きゃあああ!!!」
「うを!?」
「平気そうな顔で持たないでよ!」
「拾ってきたのにその言い草!」
「やだやだー!デリカシーないんだからっ!!」
「たかがキャミソールだろ!?」
「それ下着用だもん!!」
「した…っそんなん見分け付くか!分っかんねぇよ!!」
ひったくるように奪い取られた薄手の布地。
下着なんて滅多に見ないんだから、気付く訳無いだろ!
持っていた手のひらが異様に熱い、ひらひらレースのキャミソール。
[6回]
「クレープおいしい~vv」
「さっき飯食ったばっかだってのに・・・」
「甘いものは別腹!」
「女って怖ぇ」
「普通だもん」
「ウィンリィ、ほれ、こっち」
「ん?」
「付いてる」
「!!」
「んむ、苺にカスタードか」
「え」
「え?」
「えっちー!!」
「はいィ!?」
不意に伸びて来た君の指が唇に触れる。
あたしの唇を撫でた親指が、君の唇に触れるまでをスローモーションで見ていた。
舐め取られたクリームに、一気に身体中の体温が上がる。
[4回]
「…ウィ、ンリィ」
「変なとこで区切らないでよ?」
「う、悪ぃ…」
「もしかして具合悪いの?」
「いや…」
「何なのよ、もう」
「あ」
「あ?」
「…明日、どっか行かねぇ?」
たったそれだけ、その一言!
絞り出すまでかかった時間に、身体中の力が抜ける。
うんと明日楽しませて、心配した分返してちょうだい?
[5回]
「兄さん、兄さん、僕気付いちゃった」
「んあ?」
「ウィンリィのつけてる指輪、あれ何?」
「ぶはっっ!!」
「前に帰って来たときにはつけてなかったと思うんだよね!」
「おまっ、わざと言ってるだろ!!」
「えぇ?わざとって何だよ?分かんないなぁ~」
「アルフォンスッッ!!」
弟の口を塞ごうと追いかけてみても、上手い具合に逃げられる。
頼むから、そのままあいつのとこに行くんじゃねぇぞ!?
遠くて近い約束のカタチ、気恥ずかしいエンゲージリング。
[10回]