「ウィンリィさーん」
「うん?」
「重いんですけど…でぇ!!」
「重くないもん!エドのばか!!」
「退け!重い!本が読めねぇ!!」
「また言った!!アルに言いつけてやるっっ!!」
「だ―――――!!!分かった!分かったからここに居ろ!!」
何でわざわざオレの膝に座るんだ。
上機嫌な彼女が鼻歌交じりにくっ付いて、
転がしていた毛糸を手繰る。
邪魔したら怒るんだろうな、どうせまた。
背中に流れた髪のひと房に、気付かれないよう口付けた。
[8回]
「わ、手大きいね」
「普通だろ」
「『どうしてエドの手はそんなに大きいの?』」
「聞いたことあるな、そのフレーズ」
「どうして、狼さん?」
「だーれーがー狼だッ」
「きゃーっっ」
ころころと笑う君を照れ隠しに抱き締めた。
君を包み込む為、だなんて口が裂けても言えるはずない。
[11回]
「声、掛ければ良かったじゃないのよ」
「…タイミング逃したんだよ」
「…見た」
「み、てな、い」
「説得力無い」
「見(え)てねぇよ!!」
「部屋物色してないでしょうね」
「するか阿呆ッッ!!」
いまいち信用出来ないけれど、一応信じることにする。
会わない間に逞しくなった?
ちょっとだけ変わった目線、悔しいから認めてあげない。
[12回]
「エドエドエドエド、エドワードさんっ」
「はいはい、何でございましょーかね」
「お買い物行きたい」
「絶ッッッッ対駄目。」
「何で即答なのよー?!」
「ええい!臨月で笑えねぇ冗談言ってんじゃねぇ!!」
「適度な運動は良いって言われたもん!!」
「言われたのはその状態じゃなかったときだろーが!!」
「けち」
「けちで結構」
「…チビ、豆、ミジンコー」
「今何っつったぁぁぁぁああああッッ?!」
あら、まだ反応するのね。
仕方が無いからこれで我慢してあげる。
見つけた遊び、からかい甲斐のある愛しいヒト。
[8回]
「羽根が、生えたみたいだったんだ」
「…ぶっ」
「…笑うな」
「兄さんってば意外とオトメな妄想するんだね」
「妄想って言うな!」
「あはははは!笑いがとまんない!ウィンリィに教えてこよう!」
「ぎゃああああ!?」
「ウィーンリーィ!!」
「何でもねぇ!こっち来んな!!」
「なぁんですってぇ?!」
「ウィンリィ、あのね…ッ」
「お前に用事なんて無ぇからあっち行け!耳塞げ!!」
「黙らっしゃい!あんたに呼ばれたんじゃなくてアルに呼ばれたのよ!!」
「さっき兄さんったらねぇ」
「言うなよ?!言ったら承知しねぇからな?!…ぐはッ!」
「さぁ、アル。遠慮なく教えて頂戴」
「て、っめ…憶えてろよ…!」
「はい、ウィンリィの勝ちー」
あぁもう、ほんとに頼むから。
分かってるよ、聴いた瞬間大爆笑だろ。
だから気のせいに決まってるんだ、
微かに染まった君の頬なんて。
[9回]