「辛気臭い顔してんなぁ」
「ラビ」
「笑えよ、楽しいこと考えてさ」
「えぇ?笑ってるじゃないですか」
「お前の笑顔ってどっか嘘くせぇ」
「………」
「………」
「そんなことありません」
「ほら、ちょっと黙った。嘘吐くの、癖?」
「嘘って言うの止めて下さいよ。別に癖でもありませんって」
「ま、いーけど」
「ラビこそ」
「うん?」
「僕よりずっと、嘘を吐くのが上手じゃないですか」
一瞬だけ見開かれた瞳を、見ないフリして微笑んだ。
君が誰よりも優しいことを知っている。
凍て付く夜に落ちた、氷のかけら。
[1回]
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