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鋼の錬金術師 88 (未来)

「………」
「………」
「………ウィンリィ、何してんの」
「なっ何って!?」
「さっきから、何か言いたげにじっと見てんじゃねぇか」
「…エド、も、さぁ」
「オレ?」
「やっぱ、何でもない!」
「は?」
「でも、えっと、あの」
「ハッキリ言えよ、気持ち悪いな」
「エドも、男なんだし、って、ね?」
「だから何だ!」
「………………………は、裸エプロンとか、好き、なの?」
「…お前にソレを吹き込んだ奴を今すぐ教えろ」



パニーニャがね、男は皆そういうのが好きなんだよって。
言いながら、何故オレと距離を取る。
見るからにどん引きしてるのは分からないでもないが、
オレにそういう趣味は一切無いからな!!

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鋼の錬金術師 87 (未来)

「濡れたぁ!」
「傘持って行かなかったのかい」
「だって出るときは晴れてたんだもの」
「ラジオで午後から雨だって言ってたのに」
「どっかで電話借りて、ウチに連絡すりゃ良かったじゃねぇか」
「だって、ちょっとの距離だったし」
「『だって』『だって』じゃあーりーまーせーんーっ」
「いひゃい、いひゃいっ!!」
「風邪引いたって看病してやらねぇいからな!」
「そういうときは、ぬっくぬくにあっためてよう!」
「どうやってだ!」
「心配したならしたって言えばいいのにねぇ」



つねられた頬を抑えて涙目で抗議。
どうやって、なんてここで具体的に言っても良いの?
お風呂を指差す君の手を取り、一緒に入ろって誘ってみる。
馬鹿なこと言ってんなと、ふわふわのバスタオルでくるまれた。

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鋼の錬金術師 86 (未来)

「寒い!」
「そうです、ねー」
「冷たっ!服の下に手入れないでよ!!」
「ウィンリィさんがいつもやってることですぅ」
「セクハラー!」
「てめ、今度お前が同じことやったらオレもセクハラって叫ぶからな!?」
「あたしのはスキンシップだから」
「ずっりぃ!」



ぽすんと抱きついてきた彼女の背中に腕を回す。
悪戯ついでに冷えた手を突っ込めば、悲鳴を上げて飛び上がる。
ぎゅうっと抱き締めればあたたかい君の、はちみつ色が視界いっぱいに広がった。

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鋼の錬金術師 85 (未来)

「エド、アルと喧嘩でもしたの?」
「してねぇよ」
「さっき大声出してたじゃない」
「…違う」
「ふぅん?」
「……………ッッ」
「…何か隠してるわね!!」
「だー!気にすんな!!」
「気になるわよ!白状しなさい!!」
「出来るか!!」
「ほらやっぱり!!」



嘘を吐くのが下手だって、そろそろ自覚した方が良いんじゃない?
こちらを絶対に見ようとしない君の頬が真っ赤に染まる。
渾身のポーカーフェイス、どうせ長続きはしないんだから。

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鋼の錬金術師 84 (未来)

「おはよ、アル」
「おはよう」
「朝食、もうちょっと待ってろな」
「昨日暑かったね」
「そうだな、オレら窓開けて寝たし」
「…兄さん、あのね」
「ん?」
「声が駄々漏れ」
「………………………は?」
「夜、窓開けたんだよね、僕も。すぐ閉めたけど」
「…ウィ、ンリィ、に、は…?」
「今借りてる本、ずっと欲しかったんだよね」
「ばっ、あれ絶版本だぞ!?」
「ウィンリィ、おはよう」
「おはよ、アル。朝から仲良いわねぇ」
「仲良いのは僕じゃなくて、ウィンリィだと思う」
「えぇ?」
「どれでも好きな本持ってって良いぞ、アルフォンス!!!」



弟に借りを作ったが最後。
知られたくないことは徹底的に隠し通せ。
身を以て知ってるくせに、いつもどこかでバレるのは何故だろうかと首を傾げる。

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鋼の錬金術師 83 (未来)

「エド、雨降ってきた」
「明日も雨だっけ」
「今夜から2日は降るって天気予報が言ってたわ」
「気だるそうだな」
「雨の日ってすごく眠たくなるの」
「そこ、オレのベッド」
「うん」
「分かってる?」
「分かってる」
「ウィンリィ、さん?」
「おやすみなさーい」



いや、だからそこオレのベッドなんですけど。
ごそごそと毛布にくるまったと思ったら、直後にすやすや聞こえる寝息。
肌寒さに理由をつけて、彼女の隣で息を殺して目を閉じる。

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鋼の錬金術師 82 (未来)

「なぁ、眠たいの?」
「眠たくないけど?」
「じゃあ、何故オレの上に寝転がる」
「エドがここに座ってたから」
「あぁ、そう」
「撫でても良いのよ?」
「どこを!?」
「どこって、頭とか」
「え、あ、あー…うん」
「微妙な返事するわね?」



なにを考えてたのか、ちょっと正直に言ってごらんなさいな。
怒りはしないと思うわ、多分ね。
耳まで真っ赤に染まった君に猫みたいに擦り寄った。

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鋼の錬金術師 81 (未来)

「エド、ちゅーして」
「ハイ!?」
「キス」
「いや、分かるけど!」
「じゃあ何よう」
「…ふ、雰囲気が無さ過ぎる…」
「夜だったら気にせずがっつくくせに」
「わーーーーーーー!!!!」
「あたしからしたら怒るじゃないっ」
「それは、お前がいっつも唐突だからだ!」



どちらも譲らずにらめっこ。
あたしが悪いんじゃないんだから。
顔が近付いた瞬間に君の唇を奪ってみた。

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鋼の錬金術師 80 (未来)

「…ん」
「甘い」
「さっきアイス食べた」
「自分だけ!」
「エド、居なかったんだもの」
「さっきアルが土産に買って来たシュークリームひとりで食べる」
「やだやだ!ずるい!!」



出るに出られないこの状況。
なんでこの夫婦は時と場所を考えないかな。
居間を覗いた瞬間に、兄と義姉のキスシーンに鉢合わせ。

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鋼の錬金術師 79 (未来)

「あーん」
「…オイこら」
「良いじゃない、ひーとーくーちー!」
「向こうにあるだろ!ヒトのをわざわざ取るな!」
「ひとくちで良いんだもの」
「だからって、餌をもらう雛鳥みたいに」
「可愛いでしょ」



自分で言うな、自分で。
ケーキをひとくちフォークに刺して、口に運べばぱくんと食べる。
可愛いなんて、思った方が絶対負けだ。

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