「おはよ、アル」
「おはよう」
「朝食、もうちょっと待ってろな」
「昨日暑かったね」
「そうだな、オレら窓開けて寝たし」
「…兄さん、あのね」
「ん?」
「声が駄々漏れ」
「………………………は?」
「夜、窓開けたんだよね、僕も。すぐ閉めたけど」
「…ウィ、ンリィ、に、は…?」
「今借りてる本、ずっと欲しかったんだよね」
「ばっ、あれ絶版本だぞ!?」
「ウィンリィ、おはよう」
「おはよ、アル。朝から仲良いわねぇ」
「仲良いのは僕じゃなくて、ウィンリィだと思う」
「えぇ?」
「どれでも好きな本持ってって良いぞ、アルフォンス!!!」
弟に借りを作ったが最後。
知られたくないことは徹底的に隠し通せ。
身を以て知ってるくせに、いつもどこかでバレるのは何故だろうかと首を傾げる。
[12回]
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