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鋼の錬金術師 25 (『つないだ手』CD通常版裏イラ妄想文ver.3)

ちょっとばかりアレな内容です(大笑)。
反転。


微かな重みを背中に感じた。
エドワードは手元に落としていた視線を上げて、肩越しに振り返る。
仄暗い部屋の中でも淡く浮かぶはちみつ色の髪が目の端に映った。
寝入ってしまったらしい幼馴染に、
やれやれといった風体で彼は頬を緩める。
疲れているのは身体だけではないだろう。
張り詰めていた感覚がやっと緩やかにほどけて行く。
寝かせてやろうと僅かに腰を浮かせたエドワードは、
寄りかかる彼女に違和感を感じた。
(…あれ?)
寄りかかっている所為で低い頭の位置はともかく、
どうにもしっくりこない。
久しぶりに会うと言ってもここ数日は共に過ごしていて、
今になって気付くのも妙な話だ。
うんうん唸って考えていたエドワードは、ふと思い付いた。
もう一度彼女を振り返る。
(そうだ、肩幅…)
前にリゼンブールに帰ったとき。
中央で呼び出したとき。
ラッシュバレーに出向いたとき。
ちょっとずつ、ほんのちょっとずつ。
気付かなかったのはきっと、エドワードだ。
機械鎧を扱っている所為か、
同じ年頃の少女と比べればそうでもないものの、
男と比べて薄く細い肩に華奢な身体。
異性であることを意識したことはない。
けれど、彼女は確かに少女で、彼は確かに少年だった。
(こいつ、こんなに背中小さかったっけ…?)
唐突に思い付いてしまった事実に、エドワードは心細くなる。
いつも支えてくれる両腕が、こんなにも細いだなんて思わなかった。
彼女が小さな少女であったことに愕然とした。
それほどまでにウィンリィが大きな存在だったのだと思い知る。
エドワードはいつも迂闊だ。
故郷の空と同じ色をした瞳が見えないことが、
今はこんなにも不安を掻き立てる。


「…ウィーンリィ」


声が、聞きたい。


「ウィンリィさーん」


起きて、微笑って。


「寝るなら着替えて、ベッドで寝てくださぁい」


そこに居ることが夢ではないのだと想い、知らせて。


エドワードが何度か身体を揺すると、
ウィンリィは眠たげな声を上げて身じろぎした。
気持ち良く眠っていたところを起こされ、少々不機嫌だ。
「ん゛ー…」
何度も目を擦り、気を抜けばすぐに眠ってしまいそうな彼女が、
寄りかからずに座り直すのを見届けて、
エドワードはベッドから立ち上がる。
くい、と袖の端を引かれて、彼は立ち止った。
「ぱじゃま、とって…」
「自分で取れよ、それくらい」
「とーるーのー」
幼い子どものようにぐずり始めたウィンリィには、
逆らわない方が吉だとエドワードは諦めてクロゼットへ向かう。
ハンガーに掛けられているジャケットを押し退け、
その下で綺麗に畳み込まれているアメニティのパジャマを手に取った。
ほら、と手を伸ばした彼の後ろで白いものが放られた。
視界の端に映ったそれを、
何とは確認せずに振り返ったエドワードが悪いのか。
それとも彼女の我儘を怒鳴りつけて、
いつものように部屋を出れば良かったのか。
どちらであったとしても、
たった今起こり得た事象は目の前にあるひとつだけ。
ばさり、とエドワードの手から床へ向かって夜着が落ちる。
「えど…?」
寝ぼけ眼で呂律の回らない口調の彼女の思考は、
あまりよく働いていないようであった。
やはりはっきりと叩き起こしていれば良かったのかもしれない。
ベッドの上に座り込んだままのウィンリィは、
スカートは履いていたものの既に上着を脱ぎ捨て、
豊かな膨らみを覆い隠す下着のみを身に着けていた。
うっかり凝視してしまったエドワードの目には、
可愛らしいフリルとリボンがあしらわれた淡いブルーのデザインから、
恐らくホックを外そうとして背後に回されていた彼女の指が、
スローモーションのようにゆっくりと動く様まで、
しっかりと映っていた。
金具が軽い音を弾かせて、お互いの手を離す。
するりと肩紐がなめらかな肌の上を滑り落ちた。
拘束を解かれた弾力のある双丘がエドワードの視線の先で揺れる。
その瞬間、
ぼんやりと目を瞬かせていたウィンリィの意識が一気に浮上した。
「―――…エドッッ!!?」
シーツを掻き集め、前屈みになって身体を隠す。
エドワードも彼女の声で我に返り、慌てて背を向けた。
「やだやだやだ!何で居るの?!」
「何でじゃねぇよ!お前がパジャマ取れって言うから…!!」
この声は間違いなく半泣きだ。
片手で顔を覆い、エドワードは項垂れる。
男は見ても見られても犯罪者扱いで理不尽なことこの上ない。
しかしながら、彼女の疑いを否定出来ないことも確かだった。
(み、見え、た…かも…)
意図的でないとは言え、
ばっちりと見えてしまった幼馴染の少女の身体は、
もう既に少女ではなくて。
彼女は咄嗟に隠したものの、弾む膨らみの先で揺れる、
濃桃の頂までエドワードはしっかりと見てしまった。
記憶を消去するには思春期の彼にとって衝撃が強すぎる。
気不味い沈黙が降りた。
お互い真っ赤になっていて動くことも出来ない。
「……………すけべ、覗き魔、痴漢…エドに見られたぁ…っ」
すん、と鼻を鳴らして、くぐもった声が聞こえる。
シーツに顔を押し付けているのだろう。
ついでに泣いているのは間違いない。
理不尽だ。
別に見たくて見たワケではない。
見せろと言ったワケでもない。
言わば不慮の事故。偶然。間が悪かっただなのだ。
(そりゃ、ちょっとくらい…)
ラッキーと思わないでもなかったけれど。
だからと言って、この言い草は心外だ。
「おっ…前なぁ!!」
ウィンリィがシーツで前を隠しているのを一応目の端で確認して、
エドワードは勢い良く向き直る。
この際、
腕に引っかかり放しの下着は見えないものだと自己暗示をかけた。
「襲われても文句言えねぇ状況だぞ?!幼馴染だからってな、ヒトが居るときくらい少しは警戒しろ!!」
「お、おそ、う…?」
真っ赤な顔をしたまま、
ウィンリィは聞き慣れない単語にびくりと肩を揺らした。
しまったと後悔してももう遅い。
もう少しばかり言葉を選べば良かった。
「あ、いや、その、オレがどうのじゃなくて、だな」
じり、とエドワードは後ずさる。
ここでまた大声を出されても、今の状況では言い訳が出来ない。
「で、でも、アルが来るかも、しれない、し…」
視線をうろうろさせながら、ウィンリィは口ごもる。
落ち着かないのはこちらも同じだ。
「え、いや、アルは来ないと思う、けど…」
ここ、お前の部屋だし…。
言うもエドワードは噛み合わない会話が上擦っていることを自覚する。
彼女からの台詞は予想していたような返答ではなかった。
見当外れ、だけれども彼の中で期待と不安が入り混じる。
「そっそっかな」
「お、おう」
(まさか、だろ)
違うかもしれない。そうかもしれない。
(だって、これじゃまるで…)
エドワードはゆっくりとベッドの脇へ歩み寄る。
潤んだ瞳が彼を見上げた。
じっと、彼が口を開くのを待っている。
間違いなら、冗談だと笑い飛ばせば良い。
「…アルが来なけりゃ、襲っても良いって言ってるようなもんだぞ」
分かっているのかとエドワードは暗に示す。
ウィンリィの身体中が沸騰したように赤く染まる。
どう答えれば良いのか逡巡して、彼女は俯いた。
そうしてか細く、秘めやかに、
ともすれば聞き逃してしまいそうな声で彼女は小さく頷いたのだ。
良いよ、とその右手が彼の左手を掴んだ。
それだけで良かった。
想いを伝える言の葉はまだ、紡げない。
例え、彼女の右手が彼の左手に触れたその瞬間、
お互いの想いに気付いたとしても。
これから先、全てが終わるまではただ一度の逢瀬だったとしても。
欲したことを恥じはしない。
幼かったからと逃げはしない。
触れ合ったことを、絶対に後悔などしない。
だから言ったのだ。
柄にもなく一方的な約束を交わしたのだ。
次に会うときには嬉し泣きをさせてやると、
己が信じた道を決して諦めはしないのだと誓いを立ててまで。
君と共にある未来を、ただ信じて。

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