「……もしもし」
『…獄寺くん?あの、笹川…です』
「あぁ」
『ごめんね、突然』
「別に」
『ツッ君、どうか、した?』
「何だソレ」
『携帯、繋がらなくて…メールも返って来なくて』
「お忙しいんだ」
『それなら、良いんだけど…こんなの、初めてだったから』
「そんなときだってあるだろ」
『うん、でも』
「何だよ」
『よく分からないんだけど、ざわざわするの』
「……」
『ツッ君がどこにも、居ない気が、して…』
「馬鹿言ってんな、十代目はお仕事でイタリアへ出張中だ」
『うん。ごめんね、変なこと言って…』
「…駅前」
『え?』
「駅前のケーキ屋、苺フェアやってるからハルと行って来いって十代目が」
『ツッ君が?』
「あぁ」
『そっか。じゃあ、ツッ君も今度は一緒に行こうって伝えて』
「…もう切るぞ」
『うん、ありがとう。それじゃあ』
「笹川か?」
「あぁ」
「…どっちが、ツライんだろうな」
偽りの約束、届くことのない想い。
誰もこんな未来を望んでなどいなかった。
光を失った世界は空っぽで、冷たい闇が侵蝕していく。
[2回]
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