「っと、コレで良し」
「悟空」
「ん?」
「何でお前、直接言わなんだ」
「何がだ?」
「ワシは誰にでも声を届けることが出来るんじゃぞ?」
「うん、知ってる」
「ならば、お前の嫁に何で言ってやらん。最期の言葉をかけてやらんのだ」
「…だってさ」
「何だ」
「面と向かってだったら、チチに謝ることしか出来ねぇよ。謝ったって、仕方無いことだって分かっててもさ」
「そりゃあな」
「それに、最期が泣き声なんてイヤだったんだ。出てくる時も心配させたし…あぁ、笑った顔見たのは悟飯も一緒に出かけた時だっけか」
「…悟空、お前」
「勝手だけどさ、やっぱコレって卑怯だよなぁ」
「お前は怖かったのだな」
「怖い?そりゃ、チチはおっかねぇけどよ」
「そうでは無くてだな…まぁ良い。お前もヒトの子だったと言うワケだ」
「?」
「悟空、お前はお前が思っとるよりもよっぽど恵まれていたんじゃよ」
「界王さま、オラ恵まれてないなんて思ったこと無ぇぞ。皆からいっぱい貰ったからな」
そう言って、君が笑うから。
そう言って、君は笑うから。
切ない優しさ、切ない―――残り香。
[5回]
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