「…ひゃひ」
「エドって愛想ないわよね」
「しっつれいな!」
「笑うけど、大抵仏頂面だし」
「地がこういう顔なんだよ」
「リザさんにはちょう笑顔じゃない」
「何でここでリザさんが出てくる」
「エドって…年上好きなんだ…」
「待て、何がどうなってそうなる」
「あたしになんて、ほんとは興味ないんだぁ~っ」
「大アリだっつの!!!」
うっかり答えた台詞に、慌てて抑える口元。
信じて良いの?喜んで良いの?
そっぽを向いた君の耳、真っ赤に染まったあたしと同じ。
[13回]
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「ちょっとだぞ、ちょっとだからな?」
「分かってるわよ」
「ほんとにちょっとだぞ!?」
「あぁもう煩いわね!分かってるって言ってんでしょ!!」
「あああああああああ!!!!」
「うるっさぁーーーーーーいっっっ!!!」
「…なにやってんの、ふたりとも」
「散髪~っ」
「信じらんねぇ!いきなりざっくり行きやがった!!」
「そんなに切って無いでしょ、大袈裟ね!」
「…うわぁ」
「アル!?うわぁって何だ!?おいこら!!」
「エド!動かないのっ!!」
それは、ボクの口からは、ちょっと…。
揃えるだけなのに、やけに多い切り落とされた髪の量。
じっとしてれば仲良く見える、騒々しい午後の日常風景。
[11回]
「兄さん達って仲良いよね」
「喧嘩ばっかしてるぞ」
「喧嘩してたら、『はい、あーん』はないよね」
「――…ッッ!!?」
「ほんと仲良いよね」
「ちょ、待ッ、どっどこから!!?」
「え?全部」
「うわあああああああ!!!!」
覗こうと思ったんじゃないってば。
通りかかったとこにうっかり目に入ったんだ。
ちなみに彼女は気付いてました、迂闊な兄の気の緩んだ瞬間。
[11回]
「エド、あーん」
「や、自分で…」
「あーんっ!」
「………あー…」
「おいしい?」
「…おいしい、デス」
「えへー」
「ちょっと、なに、どしたの」
「ぺたぺたしたい気分」
「…あぁ、そう」
ほんっときまぐれ、自分の方が猫みたいじゃねぇか。
こめかみに口付ければ、嬉しそうに擦り寄って来る。
差し出すスプーンに乗ったミネストローネ、いつもよりちょっと甘く感じた。
[12回]
「…エド、にやけてる」
「そんっ、そんなこと、ねぇよ!!」
「何でうろたえるの」
「そんなことねぇって!!」
「二回言わなくても」
「う、あ、べっ別、に…っ」
「言いたくないなら良いわよぅ」
「や、あの、その、だな!」
「…何なの?」
「後で、言う」
「はぁ…?」
君の態度の理由は結局分からずじまい。
嬉しそうで、楽しそうで、ちょっとだけ照れて。
君の所為でこちらまで一喜一憂、あとで、ってあとどれくらい?
[14回]
「洗い物終了!」
「その割には手が冷えてないな」
「お湯使っちゃった」
「肌、ばっさばさになるぞ」
「あたしの手なんて触るの、エドくらいよ」
「そぉかぁ?」
「まぁ、手だけじゃないけど」
「―――・・・ッッ!!」
あ、真っ赤。
こういう風になって暫く経つのに、まだ面白いくらい反応するのね。
手を握っていた君がぎこちなく離れるのに気付いて、わざと距離を縮めてみる。
[12回]
「ッ、うわあああ!!」
「あんたが悲鳴上げること無いでしょ!」
「だっ、おまっ、血!!」
「ちょっと指切っただけだってば」
「ちょっと、でそんなに血が流れるかよッ」
「傷自体は大したことないわよ」
「とっ取り合えず止血して、そんで…!」
「エド、慌てすぎ!」
適当に洗い流したら、ガーゼと包帯でぐるぐる巻き。
大袈裟ね、これじゃ仕事が出来ないじゃない。
心配してくれる君が嬉しくて、憎まれ口で聞こえないように言ったありがと。
[10回]
「あれ、デン知らない?」
「さぁ?外じゃねぇの」
「洗おうと思ったのに」
「察したんじゃね?」
「予防注射のときが一番往生際が悪いのよ」
「まぁ、デン頭良いしな」
「エドは往生際悪いけど、すぐにつかまってくれるのに」
「デンと比べんなッ」
揺れてる尻尾を見つけ、全速力で追っかける。
捕まえ切れなくて彼と交代。
子ども捕まえるのもこんな感じかしら、ぶくぶく泡で愛犬をごしごし洗う。
[7回]
「サンダルの紐切れちゃった~」
「あーあ、ぶっつり」
「気に入ってたのにぃ」
「直してやろうか?」
「んー…良い」
「気に入ってたんじゃねぇの?」
「どんなものだって、いつかは壊れるわ」
本当は知っている、必ずどんなものにも終わりは来るって。
壊れないように、要らなくなるその日が来るまで長く、長く。
彼の右腕、代わりの鋼。
[11回]
「ウィンリィ、どれにする?」
「エドがこっち頼んで、あたしがこっちで半分しよう!」
「選択権はナシか」
「別に何でも良いくせに」
「そりゃそうだけど」
「甘いものが食べたい気分」
「オレ、腹減ったから飯が良い」
「デザートにすれば良いじゃない、はい決定!」
「お前はそういう奴だよな」
最後はこっちが折れるって分かってて言ってるだろ。
ため息ひとつ、諦めひとつ。
林檎のクグロフ、紅茶のシフォン、君の笑顔のおまけ付き。
[10回]