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鋼の錬金術師 148 (未来)

「あ゛ッッ!!!」
「どしたの、エド?」
「えッ、いや、何でも…ッッ」
「挙動不審」
「気にすんな!な!?」
「気ーにーなーるーっ」
「ほんとに何でも無ぇから!!」
「あ、ちょっとエド!?」
「うわっと…あれ?兄さん走ってどこに行ったの?」
「分かんない」
「ふぅん」
「なんかね、挙動不審だったの。いきなり叫んでね?」
「あー…分かった」
「え?なに?なに?」
「兄さんったら部屋に不味いもの置いてたよ、ウィンリィ」
「まずい、もの?お菓子?」



アルのやつ、絶対余計なこと言いやがった!!!
ノックもなしに部屋に飛び込んできた幼馴染に、口から心臓が出そうになる。
隠し損ねたプレゼント、フライングの誕生日。

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鋼の錬金術師 147 (未来)

「で、何が良いと思う?」
「兄さんに直接訊いてきたら?」
「驚かせたいじゃないの」
「プレゼントで驚くと思う?あの兄さんが?」
「思わないからアルに相談してるのよう」
「誕生日は皆でケーキくらいで特に何かあげたことないもんなぁ」
「あ・た・し、とか言っても貰ってくれないし」
「そりゃ、まぁ、うー…ん…?」
「何が良いかなぁ!」



ソレで喜ばない男は居ないけど、兄さん何故か手を出さないからね。
一生懸命選んだものなら、多分何だって嬉しいと思うよ。
一週間後の誕生日、嬉しいことがまたひとつ増える日。

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鋼の錬金術師 146 (未来)

「エド~」
「んあ?」
「椅子の足折れちゃったぁ」
「お前、どんだけ太っ…でぇッッ!!」
「違うもん!!」
「スパナを投げるな!」
「あんたが余計なこと言わなければ投げないわ」
「だって普通折れるか?椅子の足が」
「折れたんだもん」
「あーあ、ボッキリ」
「直してよう」
「木材あったっけなー」



出来上がったのは不細工で不格好な椅子。
安定してはいるけれど、ほんとに使えるのかしらコレ。
きずだらけの君の指に嬉しくなって、仕方ないなぁと零れた笑顔。

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鋼の錬金術師 145 (未来)

「エド、ここに置いてた紅茶知らない?」
「あ、オレ飲んだ」
「えええええ!!!」
「お前のだったのか、悪ぃ」
「悪いと思って無いでしょー!」
「あんまり」
「酷い!ばか!せっかく淹れたのに!」
「もっかい淹れれば良いだろ」
「エドが淹れてよー!!」
「えー…」
「淹れてくれなきゃ、一か月おあずけ!」
「マジで!?」



何よ何よ何なのよ!!
ちっとも悪びれてないんだから!!
君が絶対嫌だと言わない、ぐぅの音も出ない交換条件。

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鋼の錬金術師 144 (未来)

「ねぇ、まだ寝ないの?」
「お仕事してんですケドね、ウィンリィさん?」
「何よ何よっ、あたしと寝るのとお仕事どっちが好きなのよう!」
「そりゃそっちのが良いに決まっとるわッ」
「じゃあ、仮眠くらい良いじゃない」
「仮眠で済まなくなるからヤだ」
「……エドっていっつもそんなことばっかり考えてるんだ」
「そこでドン引き!?」



いつも自分から誘ってくるくせに!!
枕をぎゅっと胸に抱いて、じりじり警戒。
そんなに期待されてるなら、お望み通り襲ってやるよッ。

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鋼の錬金術師 143 (未来)


「暑い」
「なら、離れろ」
「エドが氷みたいに冷たくなれば良いと思うの」
「死ぬわ!」
「冬はあったかくて良いのになぁ」
「お前のがよっぽど体温低いじゃねぇか」
「エドのえっちー!」
「指触ったくらいで!!」



触れた手のあたたかさにびっくりして、思わず手を引っ込めた。
相変わらず子ども体温なのね。
ソファで隣に腰掛ける君に、寝っ転がるようにして寄りかかる。

 

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鋼の錬金術師 142 (未来)

「ウィンリィ!!!」
「なっ、びっくりした!」
「これ!!!」
「あ、あー…?無いと思ったら、そっちにあったの」
「何で紛れるんだよ!!」
「何でって…何でかしらね」
「わざとだろ!絶対わざとだろ!!?」
「わざとじゃないわよう」



そんな涙目にならなくったって。
初めて見るものでもないでしょ、別に。
君の洗濯物に紛れた、ひらひらレースのあたしの下着。

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鋼の錬金術師 141 (未来)

「エド、ちょっとそこに立って」
「ここ?」
「そう、そこ」
「何だよ、身長でも比べんのか?」
「今更比べてどうすんのよ」
「オレのがでかいしな!」
「それでもアルより小さいけど」
「うるっさい!!」
「うーん、これくらいかぁ」
「ほんとに何だよ」
「部屋にある机と椅子、使いにくそうにしてたから」



ずっと使うものだしね。
言って彼女が笑うから、ありがとうを言い出せなかった。
自分の居場所、家族の居る場所。

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鋼の錬金術師 140 (未来)

「じゃあ、行ってきます!」
「…ほんっとにひとりで行くのか?」
「行くわよ」
「ほんとのほんとに?」
「昨日の夜からしつこいわね!ひとりで行くの!!」
「だ、だって!!」
「エドは留守番!待ってなさい!!」
「電話とか!!」
「帰ってくれば分かるでしょ!!」
「そっ、それは、そう、だけどさぁ!!」
「早く行かないと予約の時間に遅れるよ」
「ほんとだわ!行ってきます!!」
「エド、大人しくしてな」
「落ち着かねぇんだよ~ッッ!!」




昨日の夜から右往左往。
君が気にしたところで、訊いてみなきゃ分からないじゃない。
きっと多分大丈夫、帰って一番に教えてあげるわ、落ち着かないお父さん?

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鋼の錬金術師 139 (未来)

「エドの部屋でえっちぃ本見つけたんだけど」
「………はァ!?」
「嘘よ」
「~ッ妙な嘘吐くな!!」
「そっちこそさっきの間何よ、心当たりでもあるの?」
「ね、無ぇよッ」
「…あやしい」
「あやしくない」
「心の浮気だわ!!」
「だから持ってないって言ってんだろ!!」



じゃあ、どうしてそんなにうろたえるの。
今度本格的に部屋の中探してやるんだから。
視線を合わせない君に、絶対一度は見たことあるんだと抱く確信。

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