「あれ」
「アル、おかえり」
「ただいま」
「ばっちゃん、アル帰って来たぞ」
「あぁ、おかえり」
「ただいま、ばっちゃん」
「そんなとこ突っ立ってないで、座ったら?」
「ウィンリィ、これあげる」
「絆創膏?あたし、怪我なんてしてないわよ」
「怪我にも貼るけどね」
「『にも』?」
「うん」
「………?」
「………」
「………………ッッ!!!!」
「兄さん」
「分かった、アルフォンス。分かったからそれ以上言うな…ッッ!!」
せめて見えないとこに付けてあげなよ。
ため息吐くついでに零す弟の顔を振り向けるはずもなく。
洗面所へと走って行った彼女から、銀色の凶器が飛んでくるのも時間の問題。
[11回]
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