「もしかして怖い?」
「怖いですね、泣きそうです」
「恐怖感は大切だよ、生き残る為にはね」
「膝が笑いそうなのに、そういうこと言わないでください」
「逃げたくても逃げられないって?」
「そうですよ。たまには優しい言葉くらいかけてくれても罰は当たりません」
「僕はいつも優しいじゃない」
「雲雀さんって、笑いながらヒトを殺せますよね」
心外だとばかりに目を伏せる。
口元笑ってますよ、冗談じゃない。
彼の興味が失せれば、こうして会話することも無くなるのだろう。
仲間を引きとめておくのに、必死な自分に苦笑する。
今まで積み上げてきたものを崩すんだ。
最後のジェンガが中心から音を立てて倒れて行く。
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