「望むなら、覚悟を決めなよ」
「俺は、そんな覚悟なら要りません」
「君が要らなくても、彼らが要るんだ」
「だけど、雲雀さん」
「それとも、昔の彼らを過信するつもり?」
「…いいえ、俺を含めて彼らにミルフィオーレに対抗する力はありません」
「分かっているじゃないか、何を迷うのさ」
「俺の」
「君の?」
「至らなさと、仲間への罪悪感」
「馬鹿馬鹿しい」
「もうひとつ」
「言わなくて良いよ、聞くに耐えない」
「貴方を巻き込んでしまうしかなかった、俺の力不足を情けなく思う」
本当は、誰ひとり巻き込むつもりなどなかったのだと。
本当は、ひとりで抱え込むつもりだったのだと。
最期の最期に恨まれ、憎まれ、見放されたとしても尚。
その優しさは非道く、非道く、残酷な色を湛える。
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